「アラントイン」とは、肌に関する医薬品やスキンケア化粧品に配合されることの多い成分の1つです。
この記事ではそんな「アラントイン」という成分に関して、その作用や安全性などを解説していきます。そして、今回この記事を作る上で、化粧品メーカーに30年以上勤めていらっしゃるSさんに「アラントイン」に関してインタビューさせていただきました。
はじめまして。この記事のライターを務めた青木です。専門家のSさんにポイントを教えてもらいながら、一緒に「アラントイン」について理解を深めていきましょう。
- 某化粧品メーカー勤務・Sさん
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化粧品業界に入って37年のスキンケアのプロ。
大手メーカーで石鹸製造に携わったのち、企画~開発~製造まで手掛ける化粧品OEMの世界に入り30年以上。
これまでに数多くのスキンケア・コスメ商品の開発に関わる。
化粧品の成分分析に詳しく、日頃から近所のドラッグストアで化粧品の成分表を見るのが趣味。
「アラントイン」とは?
そもそも「アラントイン」とはどんな成分なんですか?
「アラントイン」というのは、やけどの治療薬や肌荒れ用のクリームといった治療薬(医薬品)・化粧品に配合されることの多い成分の1つです。もともとは牛の羊膜から発見された成分で、無味・無臭の白い粉末状をしています。
なるほど…確かに治療薬などで目にすることが多いような気がします。成分としては、赤ちゃんや妊婦さんなどの肌が弱くなりがちな方でも問題なく使えるのですか?
はい、問題ないと思いますよ!少なくとも「アラントインが配合されているから使えない」といったことはほとんどありません。アラントインは昔から紙おむつのかぶれ防止にも使われてきた成分ですし、様々な研究で安全性が確認されているので、一般的に安全な成分であると言えますよ。
それなら安心して使えそうです。アラントインの具体的な作用としてはどのようなものが挙げられるんでしょうか?
作用としては大きく3つ挙げられると思います。その中でも「抗炎症作用」というのが一番大きな作用にはなるのですが、3つのそれぞれの作用についてはこの後詳しく解説していきます。
「アラントイン」の3つの作用
1.抗炎症作用
2.角質細胞増殖作用
3.抗刺激・抗アレルギー作用
作用1.抗炎症作用
アラントインの最も大きな作用としては「抗炎症作用」が挙げられるかと思います。
抗炎症というと、炎症を抑えてくれるということですよね。あ、だから、やけどの治療薬や肌荒れのクリームなどに良く配合されているんですか?
その通りです!「抗炎症作用」とは、肌の炎症を鎮めてくれる作用になります。アラントインは、同じ抗炎症作用を持つ成分である「グリチルリチン酸ジカリウム」などと一緒に配合されることが多いです。この「グリチルリチン酸ジカリウム」というのは、その優れた抗炎症作用から、のどのはれや痛みを鎮める目的でかぜ薬などにも配合されているんですよ。
作用2.角質細胞増殖作用
アラントインの2つ目の作用としては「角質細胞増殖作用」と呼ばれるものがあります。
角質細胞増殖作用…なんだか難しい言葉ですね。自分の中の細胞が増えるということですか?
急に自分の肌の細胞が増えるというわけではなく「増えるのを促してくれる」といった作用になります。肌表面の角質という場所にある細胞の増殖を助けてくれるので、傷の修復や肌荒れの改善などにも効果を期待できるんですよ。
作用3.抗刺激・抗アレルギー作用
3つ目の作用としては「抗刺激・抗アレルギー作用」が考えられます。
「抗刺激・抗アレルギー作用」があると、どのような効果が期待できるのでしょうか。成分としては安全な成分と言えるんですか?
「抗刺激・抗アレルギー作用」があると、刺激を緩和してくれる効果やアレルギーを引き起こす可能性のある物質を活性化させない効果などを期待できますよ。
アラントインの化粧品は自作できる?
あ、そういえば、私がアラントインについて調べていたとき、アラントインの原料が売っているのを見つけたんです。原料を買って自分の化粧水に混ぜて使うことも方法としてはアリなんですか?
方法としてはアリだと思います。ただアラントインには、配合する上限があったり溶ける量が温度によって変わったりと、作るのが難しい要素も実はあるんです。
上限などがあるんですね…そうしたら一般的にアラントインはどのくらい配合されるものなんですか?
国で決められている上限は基本的に0.2%、多いものでも0.5%の配合になります。ただ実際には、配合されているアラントインがもっと少ない化粧品も一定数あると思います。自分で一から作りたい方や、市販化粧品に混ぜて使いたい方もいらっしゃるかと思いますので、私のおすすめの作り方をご紹介しますよ!
アラントインを化粧品に配合する場合の上限は、0.5%のものもありますが、基本的には0.2%なので、自分で作る場合は0.2%を目安に作るのが良いでしょう。
具体的な方法としては、アラントインを1g測り、水500mlに対してアラントイン1gを常温で溶かすことで、約0.2%のアラントイン化粧水(=0.2%水溶液)をつくることができます。もし、市販の化粧品に混ぜて使いたい場合は、先ほどつくった0.2%水溶液を市販化粧品100gに混ぜて使うのがおすすめです。
ただこうして完成したアラントイン化粧品は、防腐剤が配合されていないので、早めに使い切ることを意識しましょう。
「アラントイン」配合のおすすめ商品
アラントインは、スキンケア化粧品にも配合されます。エイジングケア系の化粧品であったり、肌荒れ予防の化粧品などによく配合されていると思います。
そうなんですね。そうなると、アラントインが配合されている商品は「治療薬(医薬品)」と「化粧品」があると思うのですが、症状によって使い分けた方がいいのでしょうか。
目に見えてひどい症状がある場合は治療薬を使うのがおすすめです。ただ、「少し肌荒れが気になりだした」「ひび割れしそう」などの場合は、アラントインが配合された化粧水や美容液などの化粧品を使ってケアしていけると良いと思います。ひどい肌荒れやひび割れになる前にしっかりケアすること、これが健やかな肌を保つ上でとても大切になると私は思っています!
なるほど…勉強になります。医薬品と化粧品を上手く使い分けていけるといいのかもしれないですね。
1.やけどや肌荒れに効果的な「アラントイン」配合の医薬品
2.毎日のケアで肌トラブルなしに!「アラントイン」配合のおすすめ化粧品
やけどや肌荒れに効果的な「アラントイン」配合の医薬品
まずは、「アラントイン」配合のおすすめ医薬品をご紹介します!
「湿疹やかゆみが全然治まらない」「手や唇が切れて痛い」といった方は、医薬品でしっかり治療するようにしましょう。
もし、それでも治らない場合は、早めに皮膚科の先生に診てもらうことをおすすめします。
治まらない湿疹やかゆみに!ベタつきも少なく使いやすい医薬品クリーム
- 湿疹、かぶれ、かゆみ、蕁麻疹などをはじめとする皮膚疾患に効果を期待できる指定第2類医薬品のクリーム。
- 「アラントイン」に加えて、消炎作用の大きい「プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル」を配合し、炎症やかゆみをしっかり抑えてくれる。
- さらりと伸びてベタつきの少ないクリームタイプだから、ストレスなく使えるのも嬉しいポイント。
傷あと・やけど跡が気になる方に!炎症を抑えて気になる跡を目立ちにくくする
- 傷あと・やけどあとの皮膚のしこりやつっぱり、手指の荒れやひび割れ、乾皮症など効果を期待できる第二類医薬品。
- 「アラントイン」で抗炎症・皮膚組織の修復を行い、「ヘパリン類似物質」が肌のターンオーバーを促進して正常な皮膚の再生を促してくれる。
- さらりとした使用感のジェルタイプで、どんな部位にも塗りやすいのも特徴のひとつ。
王道リップクリームで、唇トラブルにしっかりアプローチ
- 口唇のひびわれ、口唇のただれ、口唇炎、口角炎など
- 抗炎症成分としての「アラントイン」「グリチルレチン酸」に加え、皮膚の新陳代謝などに効果のあるビタミンB群やビタミンE誘導体を配合。
- 直接塗れるチューブタイプで、メントール無配合のやさしい使い心地も人気。
のお口まわりトラブルをケアしてくれる無香料・無着色の薬用リップ。第三類医薬品。
毎日のケアで肌トラブルなしに!「アラントイン」配合のおすすめ化粧品
ここからは、「アラントイン」が配合されたおすすめ化粧品をご紹介していきます。
どのアイテムも肌荒れなどに効果を期待できるので、気になるものがあったらぜひ1度試してみてくださいね。
肌荒れを防ぎながらエイジングケアまで!肌にも優しい安心化粧水
- 肌荒れを防ぎながらエイジングケアまでしてくれる、医薬部外品の薬用化粧水。
- 「アラントイン」を主剤として配合。潤い成分として「セラミド機能成分」や「ユーカリエキス」、ハリ向上成分として「水溶性ショウキョウエキス(K)」を配合し、肌のバリア機能を助けてくれる。
- とろみのあるテクスチャーで保湿力もばっちり。アレルギーテスト済み・パッチテスト済みの、肌に優しい安心処方の化粧水。
愛用者も多い高品質クリーム。スキンケアの最後にさっと付けれる軽さも人気
- 乾燥性敏感肌向け商品を手がけるCurelのフェイスクリームで、アレルギーテスト済み・パッチテスト済み・アルコール(エタノール)フリーなどとても低刺激。
- 「アラントイン」を主剤とし、その他にも保湿成分「グリセリン」や潤い成分「ユーカリエキス」などを配合。
- しっとりとする使用感なのに軽いつけ心地なので、毎日でも使い続けやすいアイテム。
アラントイン原料ならコレ!高品質&高コスパで人気
- 手作りの化粧品原料を販売する自然化粧品研究所のアラントイン原料で、手持ちの化粧品などに混ぜて使いたい方に最適。
- 量も多すぎないので使いやすく、コスパがいいのも人気。
- チャック付きなので保存しやすいパッケージで、1~2年は保存しておけるのも嬉しいポイント。
まとめ
最後に「アラントイン」について簡単に整理しておくと、「アラントイン」とは…
- 医薬品や化粧品に配合されることのある成分で、どんな方にも使いやすい安全な成分
- 3つの作用があり、1番大きな作用として「抗炎症作用」がある
- 症状がひどい場合は配合された医薬品、毎日のケアや予防のためには配合された化粧品を使うと良い
ここまで、専門家のSさんにお話しを伺いながら「アラントイン」について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。肌荒れやひび割れなどに悩んでいる方は、症状がひどくなる前に「アラントイン」配合のアイテムなどでケアしてあげてくださいね。